劇団千年王国

「もしコレを観ておもしろくなければ自腹で全額返金します」
「もしお金がないなら、僕が自腹で立替えます」

自腹。劇場プロデューサーさんがそこまで言うなら、ということで観に行ってきました。

劇団千年王国「贋作物」。

狩野派に生まれ育った二人の兄弟。兄は日本画の伝統を守る正統派、弟は怪しいブローカーと組んでニセモノを描き、ようわからん西洋人に法外の値段で売りさばくヤンキー絵師。だが、そのニセモノの絵が天才的にうまく、プロの目さえもごまかしてしまうほどだからたちが悪い。そして、実は兄ではなく弟こそが正統な血筋を持って生まれた存在であることがわかり、2人は葛藤。悲劇に発展する。

ものすごいスピードとエネルギーで展開されるのではじめはついてくのに必死。

滑舌が悪かったり少しでもつかえたり、声が小さかったりすると一瞬で役者までもが置いて行かれるハラハラ感。
かつての第三舞台とかつかこうへいを思わせる唾飛び散る感。
ひさびさにそんな世界をのぞいた気がして血が踊り出す。

おそらくほとんどの客が「日本画のことはようわからん」「時代背景もよう知らん」という状況において、ここまで釘付けにさせるのは、役者と脚本における「色気」だと思う。

遊郭を舞台に、金儲けをたくらむよからぬ連中。なんかシュッとしててイヤミな兄。だが「認められたい」「勝負したろやんけー」と真剣にあがく姿は、現代人(私)がひた隠しにする熱さそのものであって、見れば見るほどちょいと心が痛むのだ。

北海道の劇団で、なにやらいろいろと賞をもらっているらしい。

この種の真面目さがもっといろんな人の身にふりかかればいいと願う。