ワールド・トレードセンター

燐光群の芝居を見ると、いつも嫌な気分になる。
でも観ずにいられないのは、この社会派集団が訴えることの少なくとも一部はきっと真実で、それに対してとっさにどう反応すればいいかわからない自分の薄さを見せつけられるからだ。

坂手洋二911当日、ニューヨークにいたという。
以前、動画サイトであのテロはアメリカの自作自演。飛行機が突入する前にビル内で爆発音を聞いたとか、BBC中継のアナウンスの時間差、ペンタゴンの直前の耐久工事など数々の矛盾点を挙げるインタビューを見た。

6年たった今も相変わらずセンセーショナルな響きを保ちデフォルメされながら、成長し続ける911

私は自分の体の器官を通じて感じたものしか信じられないし、語れないし、またその資格もない。

物語にはブロードウェイのアンダースタディ(代役)である役者がでてくる。

「しばしば私たちは死を演じる。芝居はさながら人生のアンダースタディだ」

そう、本当の死を目の辺りにしても生きている限り「体現」することはできなくて、いくら近づいた気になってもそれは妄想。

戦争やテロを演じるのも同じこと。
アンダースタディの演技を完璧だと褒める皮肉と一緒。
真実はいつもひとつだけ。

私たちは真理を知り、真理は私たちを自由にする。

学生時代繰り返し聞いたこの言葉が少し温度を持って響きはじめる。