わが社の所信表明

どうせやるなら楽しく仕事を、というのはもっともな意見。
だがウチの会社にはそれをきちんと実行できる人が結構多い。業績はともかく。

三ヵ月ごとに全営業部員が集まって反省と今後の方針を一人ずつスピーチする会議がある。スピーチ時間に特に制限がなかった頃、一人が10分ずつ話し25人で250分。さすがに全員白目をむいた。

とりあえず5分で、ということになり、いつしか3分を目指そうという運動が起こり、水面下で結成された「長会議撲滅団」による短さを競うレースが行なわれるようになった。レース速報は、辛口のコメントと共に翌朝全団員らに添付メールで配信され、みな自分の順位に一喜一憂する。タイムのいい人は讃えられ、羨望の眼差しをあびる

前回、我こそは、と躍り出、1分台を叩き出した先輩(45)が、何を話していいかわからなかった新入社員(22)に僅差で敗れ涙を飲んだ。

会議がはじまる。真剣に電卓をたたくふりをしながらストップウォッチを握る団長。書記と見せ掛けてコメントや差を計る副団長。今回私は部長の死角に位置し「あと30秒」「お時間過ぎましたけど」などのカードをチラ見せする役となった。

例の先輩は1分32秒という大会新記録をマーク。少し成長した新入社員は2分45秒と大幅にランクダウン。かなりライバル視していただけに優勝を確信したときの満足気な表情といったら。

会議が終わって部長が近づいてきて、ボソリ。

「あいつが優勝?」

こんな会議やめましょうよ、という機会をなんとなく逃した。