S高原から

青年団「S高原から」。ずっとみてみたかった作品がやっと再演されることになった。

舞台は高原のサナトリウムのロビー。「もうすぐ自分は死ぬ」一度それを受け入れた彼らの、悲壮感を排除したあとの奇妙な明るさだけが白いカーテンと赤いソファの間に漂っている。
ある男性患者の恋人が半年ぶりに訪ねてくる。彼女は別の男性との婚約を言い出せずにいた―。大きな事件は起こらない。けれどたった一言が「彼」にとっては大事件となる。それこそが本当のドラマであり、目撃した私は確かにそこに存在する狂おしいほどの感情を思って息をのむ。

相変わらずのテクニックと間で引きずりこまれました。この作品はフランス語と韓国語に翻訳されて上演されたそうですがこれって雰囲気もちゃんとトランスレートされているのかしら・・・?

アイホールに向かうため、JR宝塚線の事故後初めて、現場を通過した。急カーブ、というよりむしろ現場直前で急速に速度を落としたことであ、ここなんだとわかった。
帰りの電車の中、闇にぼんやり浮かぶ白く覆われたシートの向こうに、この芝居のように死を宣告される一瞬もなく死んでいった犠牲者たちを思ってさらに胸がつまった。