生きちゃう系?死んじゃう系?「悩殺ハムレット」

最近やけに芝居づいているが、一度のってしまった勢いは、止めることができないので、しばらく漂っておきます。


さて昨日みたのは、劇団柿喰う客「悩殺ハムレット」。今、ノリにのっている劇団です。チラシを見た瞬間から、女優15人の美しさの粒ぞろいぶりには挑戦的なものを感じていたし、それなりの覚悟はしていたけど、うーん。ここまで「若さ」にうちのめされるとは。

しかも昨夜は「ガールズナイト」。予習不足で、お客さんが女子限定なのかな、くらいに思ってたらノーノー。女子2500円、男子5000円。そんなアホな!な、不公平な価格設定のみならず、終演後にガールズトーク的なイベントが用意されていたのでした。

本編はというと、ハムレットを、全員女子でやる(しかも全員20代)。口語で。しかも標準語というよりは、とことん頭悪そうな東京弁というか、ほんまにこんなべしゃりしとる若者がおるんかいな東京では、近頃の若いもんは…的に思わざるを得ないくらいの。

「生きちゃう系?死んじゃう系?それ、問題じゃね?」

そこまで崩すと笑える上に、キチガイになったハムレットとか、亡霊のおとんとかも、軽い軽い!ローゼンクランツとギルデンスターンにおいては、渋谷のクラブを徘徊しとる、どーしよーもなさそうな若者そのもの。でも、だからこそ人間のバカバカしさや弱さが際立って、ストーリーがささってくる気がした。


ただ、それが全員女子である、ということは実は私にはそれほど、プラスもマイナスももたらさなかった。あまりに自然すぎて?

女子である、若い、というパワーを感じたのはむしろアフターイベント。もうすぐ誕生日を迎えるキャストのために、客全員巻き込んで、動画で「卒論ガンバレメッセージ」を撮ったり、「ラストシーンを客席で見たい」というわがままにつきあって、稽古着(たぶんそれも衣装)のまま、ラストシーンを演じたり。新鮮だったし、それこそ彼女たちがアイドルそのものに見えた。


パンフレット読んだら、演出の中屋敷さんには「劇作家」「演出家」「劇団代表」の3つの人格があって、その3人で脳内対談やってて、それがまたすげーおもしろいんだけど、自分の演劇の原点が無名塾の「シェイクスピア」で、女優=女性そのものをリスペクトしているつーことが書いてあって、その生粋ぶりにへえ、と驚いた。

そうかあ、この人本当におもろいなあ。この人の世界観をわかることはできても、同じレベルで共有できる人ってあんまおらんのちゃうかなあ。役者によってもとらえ方がちゃうやろし、何より役者それぞれに強烈な個性がありそうやしなあ。演出って、伝える力いるよなあ。当たり前か、やからこそ、できあがるものの予測がつかんくて、こっちはまた見たくなるよなあ。ずるいなあ。

と、思いながら、チャリこいで帰って、胸がいっぱいだったから豆腐だけ食べて、寝た。

今日の楽日は「乱痴気」の日ということで、キャストをオール入れ替えでやっちゃうらしい。つまり、なんというか、役者は全員2役できるということだ。

舌をぐるぐるぐるぐる巻いてしまいます。

「女体シェイクスピアシリーズ」第二弾はマクベス、だそうです。