鹿564「スーパースター」
憧れの劇団である。劇団鹿殺し。
ポップでロックでウェットでメロディアス。
劇団結成10周年記念公演「スーパースター」。
何をやってもうまくいかない漫画家の兄と、ボクシングチャンピオンでスーパースターの弟。
生まれながらに「星」を持っている人とそうでない人。兄はその「星」をどうにか掴もうと、立ち退きを迫られた団地の一室でもんもんと過ごしている。幼い頃とかわりばえのしないメンバーと、ぱっとしない日々の回想がマンガを通して綴られる。ただそのマンガは、自分が描いた覚えがないのだ・・・。
「2010年は10年目の自分たちへむけた作品たちを上演していきます」
パンフレットにそう書かれていた。自分たちへ、と言われても客であるこちらはとまどう。
しかし考えてみれば、客はそこにいる役者の真実を見抜こうとしているわけで、自分と向き合えていない役者や自分たちのつくるものに自信のない役者などに用はないのだ。自信?自信。そういうことを言っているのか。
演技のうまいへたではない、歌のうまいへたでもない、ただただ「この作品、この劇団、そしてここにいる自分を私は信じている、お前らはどうだ」というクレイジーな圧力というのだろうか、それを全役者から等しく感じる。
なんだかすごく楽しそうで、つらそうで、かっこいい。
キューティーパピー役で、エロい格好をした女優の衣装のビニール部分が途中で破れて、なんか乳とか尻とか見えそうになりながらも、鬼気迫る笑みで激しいダンスを踊っていた。これを彼女のお父さんが見ていたらどう思うだろうか。そういう部分に憧れて止まない。