高校演劇のバックネット

久々に北白川。
久々に造形大学。
久々の高校演劇ウォッチャーしてきました。

年に一度の高校演劇コンクール、近畿大会の上位2校が招待される春秋座公演「演じる高校生」

今回は「お通夜」という加古川東高校の作品に感じ入りました。

ブライダル部門から突然葬儀部門に異動させられた主人公が、小学校時代の恩師のお通夜を仕切ることになり、しかも遺族から「楽しいお通夜」にしてほしい、という無理難題をつきつけられるストーリー。

高校演劇で取り上げられがちな学校、進路、友情など等身大のテーマを一切無視した切り口が斬新で、登場人物もアラサー世代、おっさん、おじいさんなど外見的に10代が演じるには無理がある年齢層ばかり。

しかしそれを真剣に演じることで生まれる、独特の愛らしさも、私的にはかなりのツボでした。

映画「おくりびと」や「お葬式」に見られるように、葬儀の場での笑いというものは、笑ってはいけないからこそさらに笑えて、なおかつその後にくるむなしさや哀しさがドラマチックなのであり、この芝居も観客を「笑わせながら泣かす」という“黄金のシーン”を見事に作り上げていました。ベタなんですけどね、なかなか出せるものじゃないと思います。

自分が経験者ということとは関係なしに、手放しで、高校演劇というものの魅力に、オトナになってからハマっています。それは、例えば高校野球の地区大会から通いつめるマニアックなおっさんと同じで、それをネタに茶を飲みながら、仲間とあーだこーだ言い合う瞬間もまた、幸せなのです。

もちろん、甲子園でいつも定位置に映るバックネット裏の謎のおっさんのごとく、この夏の全国大会・三重の会場には有給をとって乗り込もうと思っています。