OLひとり遊園地

「号泣する準備はできていなかった」
みたいな出来事が会社であり、路頭に迷っているとある人が
今日いちにち仕事をしなくていいんじゃない、
と言ってくれたのでふと、遊園地に行こう、と思った。

ジェットコースターに乗りたい。

でも万博記念公園駅に降り立つと「うおー。一人で来てしまったあ」と激しく後悔した。

でもでも仕方ないので勇気を出して「フリーパス、大人一枚」と言った。

平日のエキスポランドは、がらがら。遠足で来ている幼稚園児の群れと、揃いのジャージを着た中学生の団体、まだ夏休みの大学生カップルの3パターン。要するに、パンプスはいて、スーツ着てるOLなんて一人もいなかった。

せっかくフリーパス買ったんだから!
わたしはジェットコースターに乗りたかったんだからね!
と自分に言い聞かせてまず「オロチ」に乗ってみた。上半身だけ固定されている絶叫コースター。足ぶらぶら。なんども身体さかさまにされて、引力とか無重力とかぎゅいんぎゅいんシェイクされたら何かがぷっつんと切れて、それから、わたしは一心不乱に次々と乗り続けた。「風神雷神2」とか「ダイダラザウルス」とかね。

ニコリともせずに、淡々と絶叫マシンを制覇していくわたしってちょっと怖かったかも。
自殺名所に女一人で来ている、とかなら止めようがあるけど、スーツで一人遊園地に来ている女って。

内心は相っ当楽しかった。わたしにしてはめずらしく次乗る乗り物に迷うことなんてなくて、どこで何を食べるかもほとんど決まっていて、休む場所も、煙草を吸う所もあらかじめ決めていたわけじゃないのに何故だかすべてがとってもスムーズだった。冷静な乗車作業。一瞬の興奮。体力の確認。休憩。

また、風をきる。わああああああ。

ゆっくり観覧車。下界。太陽の塔。やっぱすごいぜ岡本太郎。i podでレッチリ聴く。

この、半年間のことを思った。たった半年なんだけど何年にも感じた。自社に対する事業提案が通らなかった。言ってみればそれだけのことなんだけど。昨日結果がでた。何度かのプレゼンを重ねて、東京大阪を行き来してわたしは朝歯を磨いても、改札口を通っても、出し巻きコロッケ定食を食べていても、トイレで手を洗っても、だらだら酒を飲んでてもいつもどこかでそのことを考えていた。恋に似ていた。失恋?


時間はたっぷりあった。空もあおくて、絶好の行楽日和。そうかそうか、わたしは遊園地に一人で来れるようになったんだなあ。大人になればいろんなことができるんだなあ。人間ってすごいなあ。地球ばんざい。

など考えていたらいつの間にか涙もひっこみました。ありがとう万博。

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